【解説シリーズ】ステロイドと腫瘍
みなさん、ステロイドってどんなイメージがありますか?
皮膚の薬?痒み止め?抗がん剤?食欲の出る薬?副作用は?
ステロイドを使ったことのある方は先に述べたような表現をされることが多いですね。
それでは、その詳しい作用機序はご存知でしょうか?
「何の腫瘍かはわかっていないけど、できものがあるからとりあえずステロイド」、となっていませんか?
まず、ステロイドとして広く認知されているのは「糖質コルチコイド」と呼ばれるものです。
この糖質コルチコイドは細胞内のステロイド受容体と結合して、炎症を起こす物質の合成や、リンパ球の合成を遺伝子レベルで制御する、という機序で作用します。
リンパ球などの独立円形細胞の増殖を抑制することが期待できるため、リンパ腫の化学療法のプロトコールにはプレドニゾロンと呼ばれる糖質コルチコイドが含まれていることが一般的です。
一方で血管や筋肉、脂肪、などに由来する間葉系腫瘍、皮膚に形成される腫瘍や乳腺や肝細胞などに由来する上皮系腫瘍、すなわち固形がんにはほとんど効果を示しません。
そのため、抗腫瘍目的で効果が期待できるシチュエーションは限定的なのです。
糖質コルチコイドは主作用と同時に副作用として多飲多尿、食欲の増加、血糖値の上昇作用やインスリン耐性の増加、犬ではパンティング(息切れ)、免疫抑制、コラーゲン合成阻害によって皮膚が薄くなる、傷が治りにくくなる、などが挙げられます。
狙った主作用>副作用とならなければ、腫瘍に対する内科療法として成立しているとは言い難い結果になりますので、可能な限り腫瘍の種類を診断し、種類に応じて内科・外科・放射線を使い分ける必要があります。
その他にもステロイドはアレルギーを抑える効果があったり、副作用の食欲増進を逆手にとって食欲がない担がん動物さんに緩和目的で使用したりと、適応範囲は様々ですので、かかりつけの先生に聞いてみるといいと思います。